夏目漱石 坊ちゃん(読了)

今さらながら坊ちゃんを読みました。この前に吾輩は猫であるを読み始めたけど、冒頭の5%くらいで挫折しました・・・でも坊ちゃんは最後まで苦なく読めました。

特に目を引く展開があるわけでもないけど、この時代の人々の生活模様や価値観が垣間見え、興味深く読めました。時代設定は明治28年、西暦1895年当時だと言われているようです。

主人公はべらんめぇ口調で、品行方正ではないが曲がったことが嫌いな江戸っ子と自認。それはありそうな設定ですが、親兄弟とのドライな関係、目上の人間であれ気に食わなければ食ってかかるところは、時代を考えると意外な感じも。

そんな主人公は食い扶持を求めて、田舎と馬鹿にしつつ四国で教師の仕事に就く。そこでも江戸っ子気質を貫き、他の教師や生徒と衝突。現代ならそういう衝突を通じて信頼関係を築いていく展開がお約束だが、そういった事もない(笑)

一人の教師とは友情のようなものが芽生えるけど、学校を去ってからは一度も会っていないという描写にとどまる。この時代、地理的に離れたら疎遠になるのも珍しくないでしょうけどね。

子供の頃から面倒を見てくれたお婆さん。旅立つ前は彼女を鬱陶しく思っていた坊ちゃん。でも四国に来てから彼女が恋しくなる。それを素直に表現しないのも江戸っ子らしい(笑)

東京に戻ってからは彼女と再び一緒に暮らす坊ちゃんを可愛く思えた。ツンデレ江戸っ子。ちなみにこのお婆さんは血縁者ではない。

漱石自身、四国の愛媛で教師をしていた時期があり、その体験が元になっているらしい。それも重ねて読むと面白いです。