20年以上前の発刊当時に「海辺のカフカ」を読んだ。それが初めて読む村上春樹小説だった。面白さがわからず、ただ苦痛を味わい最後まで読めずに挫折した。以来、村上春樹に苦手意識を持ち彼の小説を手に取ることはなかった。

20年後、気まぐれで「ノルウェイの森」を今さらながら読んだ。おもしろかった。数年後にまた読み直すこともあるだろう。20年前の苦手意識は、まだ自分が若く成熟していなかったから、もしくはたまたま海辺のカフカだけが合わなかったのではないかと思った。

そして次は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読むことにした。海辺のカフカの時に味わった苦痛が蘇る内容だった。頑張って最後まで読んだ。表現したかったことはわからなくもないが、やっぱりおもしろくなかったというのが正直な感想だ。

その後、「国境の南、太陽の西」を読んだ。ノルウェイの森ほどではないけれどおもしろかった。それで思ったのは、村上春樹はファンタジーを舞台とした話と、現実の時代背景を舞台とした話の二種類があり、前者は苦手だが後者は楽しめるのではないかということだ。

今1Q84を読んでいる。1984年を背景とした内容で楽しめている。もちろんフィクション小説だから現実にはなかった出来事が起きるが、ファンタジーの要素はない。やはりこういう話なら楽しめるようだ。

ちなみに最近今さらながら「宮沢賢治の銀河鉄道の夜」も読んだが苦痛だった。おもしろさがさっぱりわからない。アニメでは異世界転生モノもよく見るし、ファンタジーRPGで遊ぶこともあるし、ファンタジーモノが嫌いというわけではない。どうも詩的な内容がダメなようである。