テレビ番組をほとんど見なくなって20年は経つ。きっかけは2000年ごろにネット常時接続が当たり前になったことだった。自然とネットを見る時間が長くなりテレビを見なくなっていった。テレビ離れの理由は信頼性がどうとかではなかった。

最近はネットの無料の情報媒体も積極的に見ることは無くなった。視聴数、広告収入目当ての記事は質や信頼性が低く、ミスリーディングにより現実の認識を歪めてしまう可能性がある。

ブログ、SNSによる情報発信の民営化は、同時にテレビ業界が独占的にやってきた「稼ぎの手法」も民営化したということだろう。つまりキャッチーなタイトルで興味を惹かせ、感情を刺激するコンテンツを作るという手法である。

無料で情報発信する以上、広告収入が主な収入の手段になる。クリック報酬なら視聴者数稼ぎが大事だし、成果報酬なら商品購入に誘導する話術が重要となる。

そのような無料の情報ばかり取得していると、現実の認識が歪んでしまうし、人生で思慮すべきことの優先度も狂ってしまう。陰謀による情報操作よりも、信頼性より感情を刺激することに情報発信の動機をもたらす仕組みの方がより身近な問題ではないだろうか。

今や私同様、キャッチーなタイトルを見ただけでゲンナリする人は多いと思う。最近の私は、NewsPicksの有料オリジナル記事を優先して読んでいる。やはり有料だと感情を煽るような内容は少なく、客観的事実に基づいて書く姿勢、読み手に考えることを促す姿勢を感じられてよい。

あとやっぱり大事なのは読書だろう。ある分野について掘り下げて知りたいと思ったら、その分野に従事している人が書いた本を読むのが良いのは自明である。無料のゴミの山から有用な情報を探すより、お金を払ったほうが効率的だ。

昨今は専門家も間違うから信用ならないという姿勢もTwitter界隈で見られる。しかし素人の皮膚感覚や、感情刺激に長けたインフルエンサーの門外漢発言の方が信用できると考える理由は、私にはない。