今なお狩猟採集生活を送る原住民の人々と一緒に生活をした人が書いた本を数冊読んだ。それらの本には、彼ら原住民の中にうつ病のような精神疾患を持つ者は見当たらないという。

ピダハンの著者は母親が自殺したことを話したら、大笑いされたとも書いている。自分で命を絶つことなどあり得ないことなのだろう。なぜか彼らはうつや自殺と無縁なのだろうか?

1つは自然の中で何万年と続けてきた人間本来の生き方を続けているからストレスが溜まらないというのはあるだろう。とはいえ、彼らは私たち文明社会よりはるかに過酷な環境で生きている。

アマゾンの奥地で生活するピダハン、ヤノマミは、獣や毒蛇に殺されることもある。出産で母子共に命を落とすこと、生まれたばかりの子供を障がいがあるなどの理由で母親自身の手で殺してしまうこともある。

こういうことから過酷な自然の中で心身共に健全な者しか自然選択のふるいの上に残らない、といった淘汰圧の結果でもあるのだろう。