近代化しても人の限界寿命は伸びていないらしい

長寿遺伝子の研究者が書いたLIFE SPANによると、近代以降も人の寿命の上限は伸びていないそうだ。確かに近代以前にも80歳以上、中には100歳まで生きたとされる歴史上の人物はいる。(信憑性が疑われる者も多いようだが)

一昔前まで人の平均寿命は50歳未満だったという。その大きな要因は乳幼児の死亡率が高く平均値を押し下げていたからだ。また餓死、疫病、殺人、戦などで死ぬことも多かった。これらは遺伝子レベルの寿命とは異なる死である。

近代に入り多くの人が飢えと無縁になり、治安と衛生環境が良くなり、寿命以外の外的要因で死ぬことは極端に少なくなった。近代化がもたらした寿命以外の死の減少によって、平均寿命が大きく伸びたということだろう。

言い換えると遺伝子レベルでは、人は50歳以上生きるポテンシャルがあったということになる。近代化以前も運良く寿命以外の要因を回避して、現代人のように80歳以上生きた人がいたのだから。

LIFE SPANによると医療技術の進歩は、人の限界寿命を伸ばすことには貢献していないという。また実験から食事の回数を減らすこと、定期的な断食が長寿に有効と説いており、栄養が良い状態を続ければ寿命が伸びるわけではないらしい。

今より栄養状態が良くなかった近代以前に長寿な人がいることも、その証明になるだろう。むしろ飽食の時代となり糖尿病など近代的な病で、本来の寿命より先に死ぬ人が増えたという側面もある。

人の遺伝子レベルの限界寿命は100歳くらいはあるようだが、とはいえ近代化以前、80歳以上生きる人は稀だった。80歳を前に健康寿命が終わることを指して、そこまで生きるように人間は設計されていないというのも間違いとはいえないだろう。

LIFE SPANの著者は医療技術の進歩により、健康寿命と限界寿命の両方が伸びることを確信している。老化は病気なのだと。個人的には健康寿命が伸びるなら100歳まで生き、読者その他、まだまだ消費しきれない娯楽を楽しみたいのだが。