しろいろの街の、その骨の体温の(読了)

女性目線でしか描け無さそうな作品に出会えることを期待し、最近は女性作家の作品を手に取るよう心がけていました。まさにそんな作品に出会えた!という感じがしました。

閉塞感のあるニュータウンにある中学のスクールカーストを題材とした作品。主人公の女生徒はスクールカーストで下から二番目の地味で目立たないグループに属し、彼女の視点で物語は進んでいく。

スクールカーストの有り様や主人公が抱く負の感情が生々しく描かれています。スクールカーストで辛い思いをした人は読めないかもしれません。思春期に抱いたコンプレックスを思い出す人も多いと思います。

容姿に強いコンプレックスを持ち、自らを蔑み続けつつ周囲との衝突を避け、当たり障りのない立ち位置を演じる主人公。それと同時にスクールカーストを醒めた視点で見つめ、自尊心を保とうともする。

本当に「気持ち悪い」こととは何か。それはカーストでの立ち位置を維持するために、何者かを演じて生きることなのだ。それはカーストの上下どの位置にいても言えることであり、そのような演者はみな気持ち悪い存在なのだ。

社会に出てからも外見至上主義は続くし、スクールカーストに限定された話ではないだろう。私なんかは40過ぎて「おっさんになって外見を気にしている自分が気持ち悪い」という思うようになって、ようやく承認欲求は気持ち悪いという境地に辿り着き来ましたが(笑)

主人公はカーストの外に追い出され、さらに外側からカーストを俯瞰する視点を得る。どれだけ気持ち悪いと言われようが、折れない心を持つ幼馴染を見る。気づきを得た主人公は呪いを解くことができ、自分を受け入れることができるようになる。

ずっとありのままでいられる初恋の相手と主人公とのコントラストも良かったです。また主人公が自らの意思で呪いを解いて、彼と向き合うことができたことも。重苦しい話でしたが読後は清々しさが残りました。