先日、ネットフリックスで実写ワンピースが公開された。多くの人が抱いた不安をくつがえし世界的ヒットと言っていい状況らしい。私も視聴したが想像以上の内容と感じた。こんなにお金を使って作るとは思いもしなかった。

ルフィ役の俳優が尾田先生に会いに行く動画もアップされていて、その中で尾田先生はワンピースを描き始めた時は、とても実写化できる時代じゃなかった。けど技術の進化で実写化を考えるようになったと話す。

個人的には技術だけでなく多様性を受け入れる文化土壌が整ったことも大きな要因のように思う。ワンピースに登場するキャラクターは多様で、実写もそれを再現するべく登場人物は多人種で構成されている。

麦わらの一味を演じる俳優の人種やルーツも様々である。ルフィ役はメキシコ出身、ゾロ役はアメリカ育ちの日本人=真剣佑、ナミ役はアメリカ出身、ウソップ役はジャマイカ出身、サンジ役はスペイン出身ということらしい。メインキャストがここまで多様なドラマや映画もそうないだろう。

YouTubeのコメント欄で実写ワンピースを見た海外の人々のコメントが見られるが、配役に好意的なコメントばかりで、人種構成に違和感を抱いている人はいないようである。

ルフィーはラティーノ、ゾロは日本人、サンジはフランス人、ウソップはアフリカ系だと思っていたからイメージにぴったりだと書いている人もいた。(サンジ役の人はスペイン出身だがフランス系をイメージさせる雰囲気はある)

YouTubeにオフの時にメインキャラクターが集まる動画も上がっているが、アメリカ生まれとはいえ日本人らしく控えめな真剣佑は、テンションの高い他の俳優たちと距離があるように見える。それに対するコメントも好意的な内容ばかりである。

「彼のいつもクールなところがいい」「日本に住んだことがあるけど彼のように紳士な人が多かった」「日本人が自分の国に来たら何が起きてるんだ?って思うだろうね。俺たちは騒々しすぎる(笑)」といったように彼の性格や文化的な違いに理解を示すコメントが多く見られた。

今や様々な国の人々がYouTubeに動画を公開している。日本語が堪能な外国人が日本人向けに公開している動画も珍しくない。YouTubeやSNSの普及とともに多様性を受け入れる土壌ができたことが、実写ワンピースの実現と成功につながっているように思う。

多様なルーツを持つルーキーの麦わらの一味が、民族主義的な支配者アーロンを打ち破る話も、現実の時代変革とシンクロするようで感慨深かった。もはや若い世代を中心とした多様化の流れは不可逆なのだ。

ジャンプでアーロンパーク編を読んでいた時は、このようなことは全く考えもしなかったが。アーロンパーク編をやっていたのは20年以上前のことらしい・・・